利益率(粗利率)を求める際の計算式は利益額÷売上高×100%です。工務店の平均利益率は25%前後とされています。工務店は施工に必要な材料費や工事費が高額であるため、経営状況を判断する際には売上よりも利益率を重視するほうが、現状を正確に把握しやすくなります。
利益率が20%を下回ると純利益がほとんどない状態となり、経営が厳しくなる傾向があります。ただし、企業の規模や受注件数により適切な利益率は異なるため、利益率が20%を下回っているからといって一概に経営状況が悪いとは言えません。利益率は経営状況を見直す際の目安の1つとして考えましょう。
利益率を上げるには、まず粗利益額の年間目標を定めることが重要です。売上高ではなく粗利益額の目標を定める理由は、売上高には工事で支出する経費が含まれておらず、経営の現状を把握しにくいためです。粗利益は売上高から売上原価や製造原価を差し引いた後に残る利益で、経営状態が赤字か黒字かをすぐに判断できます。
粗利益額の年間目標を達成できれば、利益率が上がり、経営状態の悪化や余計な資金の借り入れを防ぐといったメリットがあります。
工務店をはじめとする建設業では、現場によって経費に差が出やすいため、目標とする利益率を現場に合わせて設定することが大切です。
一般的に、大規模な工事ほど利益率が下がり、小規模な工事は利益率が高くなる傾向にあります。特に小規模な工事は追加工事や完成後のメンテナンスなどの関連工事が発生しやすく、利益を獲得しやすいのが特徴です。そのため、小規模な工事の利益率は少し高めに設定しても問題ありません。
ただし、達成できないほど高い利益率を掲げても意味がないため、利益率を設定する際には過去の受注実績や現状を考慮する必要があります。
利益率を上げるには、利益率を下げている原因を追求することも重要です。利益率が大きく下がる原因として、作業者間のコミュニケーション不足による追加工事や手直し工事の発生、見積もり段階での工事内容の抜け漏れ、工事中の設備や原材料の原価上昇などが挙げられます。
現状の利益率の数値と設定した基準値を日別・月別で比較し、利益率が下がった場合は原因をしっかり追求しましょう。原因が明らかになったら、改善策や利益率向上につながる対策を検討します。
利益と利益率を上げる最もシンプルな方法は、販売単価の引き上げです。販売単価を上げつつ販売数を維持、もしくは増やせれば、利益率を大幅に向上できます。ただし、販売単価を安易に上げると顧客満足度の低下につながり、結果として利益率が下がる原因になりかねません。
まずは品質向上によって顧客満足度を高め、自社の製品やサービスの付加価値を顧客に納得してもらうことが重要です。その上で、単価を徐々に上げるのがポイントです。
工務店の利益率改善には、原価の見直しも欠かせません。建築工事は1つの施工にかかる原価が大きいため、原価を削減することで売上高を維持したまま効率よく利益率を改善できます。特に見直したいのは、施工にかかる経費や材料費、外注費です。たとえば、材料費を削減するには、施工資材を一括で大量購入する方法が効果的です。
また、仕入れ先や下請け業者の見直し、工事内容の最適化などを行うことでも原価削減が期待できます。ただし、無理な値下げ交渉は工事品質やサービスの低下を招く可能性があるため注意が必要です。
人件費や光熱費、備品代などの固定費を見直すことも利益率向上につながります。ただし、従業員の待遇に関連する固定費をやみくもに削減すると、モチベーションの低下や離職、品質低下につながるリスクがあります。固定費を削減する際には、工事管理の電子化や共有化、書類のペーパーレス化、工事管理システムの導入など、業務効率化に取り組むのが有効です。
少子高齢化により競争が激化する中で、顧客から選ばれる工務店になるためには付加価値の向上が欠かせません。
顧客が工務店に求める付加価値としては、ニーズに合った提案や高品質な施工、丁寧な接客、充実したアフターサービス、独自性の高いデザインなどが挙げられます。付加価値を高め、顧客満足度を向上させることで他社との差別化を図り、自社の製品やサービスの優位性をアピールできます。これにより、販売単価を上げても顧客が離れにくくなり、利益率の持続的な向上が期待できます。
工期短縮に取り組むことも、工事にかかる費用の削減につながります。工期短縮につながる方法として注目したいのが、「パネル工法」です。パネル工法は、工場であらかじめ製造したパネル(耐力壁)を使用する建築手法のこと。パネルを柱の間にはめこんだり、クレーンで組み立てたりするだけなので、新人の大工でも安定した施工を実現できます。
パネル工法にはいくつか種類があり、工期短縮に最も貢献するのは、工場で壁一面の構造を一体化したパネルを使用する「大型パネル工法」です。ただ、サイズや重量があるのでクレーンで搬入する必要があり、狭小地や入り組んだ土地だと施工が難しいというデメリットがあります。
コストを特に削減しやすいのは、間柱の使用本数の少ない「大壁パネル工法」です。ただし、パネルを柱や梁に釘打ちする必要があるので大工の技術に依存しやすく、取付作業も外側からしかできないなどのデメリットがあります。
工期を短縮しながら、大工の技術によって品質が左右されない家づくりを実現するなら、「真壁パネル工法」がおすすめ。製造・販売している会社が限られるというデメリットはありますが、大工の技術に依存しない簡単施工で、なおかつ高耐震なのがポイント。競合との差別化も図れ、顧客から選ばれる工務店を目指せます。
工務店は地域密着で経営しているところが多いため、利益率アップに取り組むことは顧客を無視した営利主義と考える経営者の方もいるかもしれません。
ただ、平均的な利益率の25%を達成していても、倒産する会社が後を絶たないのが工務店をとりまく厳しい現実です。カツカツで余裕のない経営状態だと顧客のニーズに応えることも難しくなり、ある意味では顧客を無視した経営になっているとも言えます。
利益率を上げて余裕のある経営状態にできれば、仕事環境の改善や従業員の待遇アップ、優秀な人材募集や育成などにも力を入れることが可能。品質の向上によって顧客満足度も高められるほか、会社の経営基盤が安定することで、建築中の倒産やアフターフォローの心配がないといった安心感を顧客に与えられるメリットがあります。
工務店の平均的な利益率は約25%前後とされ、20%を下回ると経営状況が厳しいと判断されます。利益率を上げるためには、販売単価の引き上げや原価削減、効率的な工期短縮などが効果的です。また、工期短縮に取り組むのも費用削減に有効な「パネル工法」の導入を検討するのもおすすめです
耐力壁の強さを表す「壁倍率」の国土交通省大臣認定を受けている真壁パネル工法の中から、壁倍率の高いパネル工法を取り扱っているメーカーを3社選出。工務店・ビルダーの課題別に、おすすめのパネル工法メーカーを紹介しています(2022年4月1日時点)。

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