耐力壁は「筋交い」または「耐力面材」でつくられます。
筋交いと耐力面材の違い、メリット・デメリット、より生産効率と家づくりの品質を上げる方法などを分かりやすく解説しているので、参考にしてみてください。
筋交い(すじかい)とは、構造部となる柱・梁・土台を「線」で支える補強材です。柱・梁・土台を組むだけでは、水平方向の負荷に耐えられないため、筋交いを取り付けて補強するのです。
筋交いの日本における歴史は長く、奈良県の法隆寺や兵庫県の姫路城の建築にも採用されています。柱と横架材で囲まれた四角形の対角線上に筋交いを固定することで、水平方向に加わる力への強度が増し、水平方向の揺れに対する耐久性が高まるのです。
施工方法には、補強材を1本取り付ける片筋交い(シングル)と、補強材を2本交差させるたすき掛け(ダブル)があります。たすき掛けのほうが耐久性を高められますが、そのぶん断熱材が入りづらくなるので注意が必要です。
| メリット | ・耐力面材よりコストを抑えられる ・歴史が長い |
|---|---|
| デメリット | ・台風や地震の負荷に弱い ・断熱欠損しやすい |
筋交いは建築基準法で素材や厚さ、幅、取り付け方が細かく規定されているので注意が必要です。
筋交いについては、「建築基準法」にその仕様についての規定があります。
建築基準法とは、建物を建てるときや敷地や建物などを利用するときの基本的なルールを定める法律です。制定されたのは1950年ですが、その後も社会情勢に応じて、何度か改正されています。
建築基準法には以下のような多種多様なルールが規定されています。
こういった建築基準法の規制の中に「筋交い」についてのルールも含まれます。
建築基準法には「単体規定」と「集団規定」というカテゴリーがあります。
単体規定とは建築物の構造など、建物自身について定める規定です。具体的には建物の安全性や耐久性、耐震性などの「性能」に関わる基準が規定されています。例を挙げると以下のような基準が単体規定となります。
集団規定は建築物そのものだけではなく周辺環境についても定める規定です。建物が集まってつくられる市街地の環境整備などを目的としています。
単体規定は日本のすべての建築物に適用されるのに対し、集団規定は原則的に都市計画区域や準都市計画区域で適用されます。
たとえば以下のようなものが集団規定となります。
など
建築基準法では、筋交いについてどのように規定されているのでしょうか?
法律の規定内容をみてみましょう。筋交いについては「建築基準法施行令」の45項に規定があります。
建築基準法施行令第45条
引張り力を負担する筋かいは、厚さ一・五センチメートル以上で幅九センチメートル以上の木材又は径九ミリメートル以上の鉄筋を使用したものとしなければならない。
2 圧縮力を負担する筋かいは、厚さ三センチメートル以上で幅九センチメートル以上の木材を使用したものとしなければならない。
3 筋かいは、その端部を、柱とはりその他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。
4 筋かいには、をしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ない場合において、必要な補強を行なつたときは、この限りでない。
まず1項には、筋交いに使用する木材や鉄筋についての規定があります。木材の場合、厚さ1.5センチメートル以上で幅9センチメートル以上でなければなりません。鉄筋の場合、径が9ミリメートル以上のものでなければなりません。
次に、圧縮力を負担する方の筋交いは、厚さ3センチメートル以上で幅が9センチメートル以上の木材を使用する必要があります。また筋交いの端の部分は、柱とはりなどの仕口に近づけてボルトやかすがい、釘などの金物でつながねばなりません。
4項では「欠込みの原則禁止」についての規定があります。基本的に、筋交いには欠込みをしてはなりません。ただし筋交いを「たすき掛け」のかたちにするためにやむを得ない場合で必要な補強をした場合、欠込みをすることが認められます。
欠込み…2つの材を接合する際、一方の材を他方の材の幅の分を欠き取り、その部分に他方の材を埋め込むこと
建築基準法では、筋交いの「仕口」についても定められています。建築基準法施行令47条をみてみましょう。
(構造耐力上主要な部分である継手又は仕口)
建築基準法施行令第47条
構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他の国土交通大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない。この場合において、横架材の丈が大きいこと、柱と鉄骨の横架材とが剛に接合していること等により柱に構造耐力上支障のある局部応力が生ずるおそれがあるときは、当該柱を添木等によつて補強しなければならない。
2 前項の規定によるボルト締には、ボルトの径に応じ有効な大きさと厚さを有する座金を使用しなければならない。
上記建築基準法施行令47条は、具体的な規制の内容を国土交通省に委ねています。この規定を受けて、国土交通省は「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」という資料を発表し、以下のようにまとめています。
一 筋かいの端部における仕口にあっては、次に掲げる筋かいの種類に応じ、それぞれイからホまでに定める接合方法又はこれらと同等以上の引張耐力を有する接合方法によらなければならない。
イ 径九ミリメートル以上の鉄筋 柱又は横架材を貫通した鉄筋を三角座金を介してナット締めとしたもの又は当該鉄筋に止め付けた鋼板添え板に柱及び横架材に対して長さ九センチメートルの太め鉄丸くぎ(日本工業規格A五五〇八(くぎ)―一九九二のうち太め鉄丸くぎに適合するもの又はこれと同等以上の品質を有するものをいう。以下同じ。)を八本打ち付けたもの
ロ 厚さ一・五センチメートル以上で幅九センチメートル以上の木材 柱及び横架材を欠き込み、柱及び横架材に対してそれぞれ長さ六・五センチメートルの鉄丸くぎ(日本工業規格A五五〇八(くぎ)―一九九二のうち鉄丸くぎに適合するもの又はこれと同等以上の品質を有するものをいう。以下同じ。)を五本平打ちしたもの
ハ 厚さ三センチメートル以上で幅九センチメートル以上の木材 厚さ一・六ミリメートルの鋼板添え板を、筋かいに対して径十二ミリメートルのボルト(日本工業規格B一一八〇(六角ボルト)―一九九四のうち強度区分四・六に適合するもの又はこれと同等以上の品質を有するものをいう。以下同じ。)締め及び長さ六・五センチメートルの太め鉄丸くぎを三本平打ち、柱に対して長さ六・五センチメートルの太め鉄丸くぎを三本平打ち、横架材に対して長さ六・五センチメートルの太め鉄丸くぎを四本平打ちとしたもの
ニ 厚さ四・五センチメートル以上で幅九センチメートル以上の木材 厚さ二・三ミリメートル以上の鋼板添え板を、筋かいに対して径十二ミリメートルのボルト締め及び長さ五十ミリメートル、径四・五ミリメートルのスクリューくぎ七本の平打ち、柱及び横架材に対してそれぞれ長さ五十ミリメートル、径四・五ミリメートルのスクリューくぎ五本の平打ちとしたもの
ホ 厚さ九センチメートル以上で幅九センチメートル以上の木材 柱又は横架材に径十二ミリメートルのボルトを用いた一面せん断接合としたもの
このように、国土交通省の資料によると、筋交いの仕口について基本的に上記イからホまでのいずれかの方法を使うか、それと同等の強度によらねばならないと規定されています。
必ずしもイからホまでのいずれかによらねばならないわけではありませんが、合法的に運用するには同等の引張耐力を持っている必要があります。ただ同等の引張耐力があるかどうか、ご自身では判断がつきにくいでしょう。基本的には国土交通省が定めるイからホまでの方法のいずれかを採用するのが安心といえます。
また国土交通省の資料には、二として、以下のような規定ももうけられています。
二 壁を設け又は筋かいを入れた軸組の柱の柱脚及び柱頭の仕口にあっては、軸組の種類と柱の配置に応じて、平家部分又は最上階の柱にあっては次の表一に、その他の柱にあっては次の表二に、それぞれ掲げる表三(い)から(ぬ)までに定めるところによらなければならない。ただし、当該仕口の周囲の軸組の種類及び配置を考慮して、柱頭又は柱脚に必要とされる引張力が、当該部分の引張耐力を超えないことが確かめられた場合においては、この限りでない。
このように、壁を設けた場合や筋交いを入れた軸組の柱の柱脚と柱頭の仕口について、規定があります。具体的な施工方法については上記に続く表により、詳しく規定されています。
なおその仕口の周囲の軸組の種類や配置を考慮して、柱脚や柱頭に必要な引張力がその部分の引張耐力を超えないことが確かめられた場合、表の方法で施工する必要はない、とも書かれています。この点についても自分ではなかなか判断がつきにくいでしょうから、基本的には表に従った施工方法とする方が安心でしょう。
表などについて、国土交通省の資料の詳細を確認したい場合にはこちらをご参照ください。
耐力面材(パネル工法)とは、構造部となる柱・梁・土台を「面」で支える面材の総称です。建物にかかる負荷を「面」で分散できるため、地震や台風の揺れに強いのが特長。
耐力面材(パネル工法)に使われる材料の一例をご紹介します。
| メリット | ・台風や地震の負荷に強い ・断熱材を充填しやすい |
|---|---|
| デメリット | ・筋交いよりコストが高くなりやすい ・筋交いよりも重い |
台風や地震などで揺れが生じた場合、筋交いは「線」で力を受け止めるのに対して、耐力面材は「面」で力を受け止めます。
上の動画は、吉野聡建築設計室が筋交いと耐力面材(構造用合板)の揺れ方の違いをシミュレーションしたもの。構造部となる柱・梁・土台と耐力壁の接地面が多いため、耐力面材のほうが安定しているのがわかります。「面」で支えると、そのぶん負荷を広範囲に分散できるのです。
構造部となる柱・梁・土台に耐力面材を釘打ちする際や断熱材を充填する際の技術によって、住宅のクオリティは変わってきます。
より生産効率と品質を上げる方法を模索している工務店・ビルダーは、工場生産されている真壁仕様の「パネル工法」を導入するのがおすすめ。
工場で断熱材や枠材の取り付け、耐力面材の釘打ち等の工程を済ませるため、現場の技術に左右されない品質を実現することが可能です。構造部を「面」で支えるため、地震や台風の揺れに強い家づくりを実現できます。
当サイトでは、パネル工法の中でも簡単施工×高耐震をかなえる真壁パネル工法を特集。
おすすめの真壁パネル工法メーカー3社を紹介していますので、ぜひご参考にしてください。
耐力壁の強さを表す「壁倍率」の国土交通省大臣認定を受けている真壁パネル工法の中から、壁倍率の高いパネル工法を取り扱っているメーカーを3社選出。工務店・ビルダーの課題別に、おすすめのパネル工法メーカーを紹介しています(2022年4月1日時点)。

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