工務店・ビルダーの課題を解決するパネル工法大辞典

工務店によくあるクレームと対応方法

住宅は一生に一度の大きな買い物です。お客様の期待も大きく、些細な行き違いや仕上がりの違いが、重大なクレームにつながることがあります。

とくに最近は、お客様自身が情報を収集し、こだわりを持って注文されることが多いため、説明の行き違いや施工上の誤解がクレームの火種になることが増えています。

この記事では、工務店にありがちなクレームとその対応方法、クレームを減らすための根本的な対策を紹介します。

工務店・ビルダーによくあるクレーム

仕上がりに関する不満

「クロスの色味がイメージと違う」「キッチンの高さが思っていたより低い」など、完成後の見た目や使い勝手に対する不満は、最も多いクレームの一つです。契約や仕様通りであっても、施主の認識とズレがある場合、納得が得られないこともあります。

特に注意が必要なのは、照明の当たり方や昼夜の見え方の違いなど、図面や小さなサンプルだけでは伝えきれない要素です。たとえ図面通りに施工していても、完成後に「イメージと違う」と感じさせてしまえば、その後の対応次第では信頼を失うおそれもあります。

工期の遅れ・報告不足

「約束の時期に間に合わない」「工事が止まっているように見えるが説明がない」といった不満もよくあるクレームのひとつです。天候不順や資材の納期遅れなど、やむを得ない事情があったとしても、その都度の説明や報告がなければ、施主は「放置されている」と感じてしまいます。

特に引き渡し時期が入居や住宅ローンのタイミングと関係する場合は、少しの遅れでも施主にとって大きなストレスになります。進捗状況や変更点をこまめに共有することが、クレーム防止には不可欠です。

騒音やご近所トラブル

近隣住民から「工事中の音がうるさい」「作業車が通行の邪魔になっている」といった苦情が、施主を通じて寄せられることもあります。どれだけ丁寧に施工していても、こうした苦情があると施主の印象は悪くなってしまいます。

とくに新興住宅地や住宅が密集したエリアでは、騒音などのトラブルが起こりやすいものです。近隣へのあいさつや、工事期間中のマナー(作業時間への配慮や車両の停め方など)を徹底しておかないと、「配慮に欠ける業者だ」と受け取られてしまう恐れもあります。

アフターサービスの対応が遅い

引き渡し後に「ドアの締まりが悪い」「壁紙に浮きがある」といった相談が寄せられた際、対応が後回しになると、施主に不満を抱かれやすくなります。「売ったら終わり」と感じさせてしまうと、会社の評判にも悪影響が出かねません。

初期対応が丁寧でスピーディであれば、多少の不具合があっても信頼を損ねずに済むケースは多いものです。また、「誰に相談すればいいのかわからない」と感じる施主も少なくありません。あらかじめ窓口を明確にしておき、迅速な対応を心がけましょう。

営業で聞いていた話と違う

「この設備は標準仕様だと聞いていたのに追加費用がかかった」「できると説明されていたのに、実際にはできなかった」など、営業段階や契約前に聞いていた内容と実際にズレがあると、お客様は“だまされた”という強い不満を抱きやすくなります。

こうした行き違いは、担当者の言い回しや伝達ミスが原因で起こることが多く、説明が不十分なまま進んでしまうと、クレームにつながる可能性があります。打ち合わせの内容は、記録や仕様確認シートなどに残し、社内でも施主とも、認識をしっかり共有・明文化しておくことが大切です。

クレームを受けたときの適切な対応方法

クレームが発生してしまったとき、最も重要なのは「いかに誠実に、冷静に対応するか」です。対応を間違えると、トラブルが拡大したり、信頼の喪失につながってしまいます。

まずは「傾聴と記録」が基本

施主が不満を感じて連絡をしてきたときに、最初に必要なのは“謝罪より先に、しっかり話を聞くこと”です。言い分を途中で遮ったり、「それは現場の判断で…」などと責任をぼかしてしまうと、施主の感情は一気に悪化します。

まずは落ち着いた態度で話を聞き、何が気になっているのか、いつ・どこで・どういう経緯でそう感じたのかを、なるべく具体的に聞き出すことが重要です。その際、現場の写真や音声メモを残すなど、後から関係者間で正確に共有できるよう、記録を残しておくことも欠かせません。

契約内容と照らし合わせて事実確認を行う

施主の主張を聞いたら、次に行うべきは冷静な事実確認です。

「契約書」「仕様書」「図面」「打ち合わせ記録」「現場報告」などの資料を見直し、実際の施工が契約に基づいたものであったかどうかを確認します。たとえ施主の印象として「違う」と感じていても、契約通りの内容であれば、法的には必ずしも施工側に過失があるとは限りません。

一方で、記録や確認があいまいな部分があると、現場に過失がなくても説得力が失われてしまう恐れがあります。事実確認を“施主の感情抜き”で整理することが、適切な対応方針を考える土台になります。

必要があれば迅速に是正提案・謝罪を行う

確認の結果、自社側に非があると判断できる場合は、できるだけ早く是正案の提示と謝罪を行います。ここで重要なのは、「言い訳をせず」「誠意をもって」「具体的な対応案を示す」ことです。

たとえば、「◯月◯日までに補修作業を完了する予定です。その際、作業音が気になる時間帯を避けるよう配慮します」といった具合に、施主が安心できるような説明とスケジュールの提示が信頼回復につながります。

逆に対応が遅れたり、説明があいまいだったりすると、「隠そうとしているのでは?」という不信感を招いてしまいます。

書面での合意・対応履歴を残す

たとえ軽微なクレームであっても、施主との合意内容や対応履歴は、なるべく書面で残すようにしましょう。

これは、後々「言った/言わない」のトラブルを防ぐためでもあり、社内での共有や再発防止にも役立ちます。対応記録は、アフター担当や現場責任者、営業など、関係するスタッフにも共有し、組織全体での対応力を高めていくことが大切です。

クレームを未然に防ぐための工夫

何より重要なのは「クレームがそもそも起きないようにする」ことです。ここでは、クレームを防ぐための具体的な工夫をご紹介します。

完成イメージの「見える化」で期待とのズレを防ぐ

完成後の仕上がりに対する不満は、図面や言葉だけでは十分に伝わらなかった認識のギャップから生まれることがよくあります。

特に、壁紙や床材、外壁といった面積の大きい部材は、サンプルだけで全体の印象をつかみにくく、「思っていた色と違う…」という不満が出やすいポイントです。

こうしたズレを防ぐには、パースやカラーシミュレーション、実物サンプルなど複数の手段を組み合わせて、視覚的に完成イメージを共有することが大切です。

打ち合わせ内容の記録・共有は“すぐ”が鉄則

お客様との打ち合わせ内容は、すぐに記録を残し、営業・設計・現場の全員がリアルタイムで共有できる体制を整えておくことが大切です。

「言った」「言わない」といったトラブルは、施主との間だけでなく、社内でも起こりがちです。オプション仕様や変更依頼など、細かなやりとりほど忘れやすいため、口頭やメモに頼るのではなく、「誰が見てもわかる」「後から確認できる」形で残しておくことが重要です。

アフターサービスも迅速かつ丁寧に

クレームの火種は、引き渡し後に発生するちょっとした不具合から始まることもあります。施主が「どこに連絡すればいいのかわからない」「連絡しても返事がこない」と感じると、不満がふくらみやすく、信頼を損なうきっかけにもなりかねません。

そのため、引き渡しの際には「不具合や気になる点があった場合の連絡先」「対応の流れ」「補修の対象範囲」などを明確に伝え、書面でも渡しておくのが理想です。

また、対応のスピードは信頼感に直結します。アフターサービスの整備は、営業活動と同じくらい重要な業務であるという意識を、チーム内でしっかり共有しておきましょう。

施工ミスを減らし、現場の負担を軽くする
「パネル工法」とは

クレームをなくすための根本的な対策としておすすめなのが、「パネル工法」の導入です。

パネル工法とは、工場であらかじめ製造された耐力壁(パネル)を使って建てる工法です。従来のように現場で一から骨組みを作るのではなく、工場で作られたパネルを柱の間にはめ込んだり、クレーンで組み立てたりするだけなので、作業がシンプルになります。

そのため、職人の技量差による仕上がりのばらつきが出にくく、新人の大工でも安定した品質を保ちやすいという特長があります。

さらに、工期を短縮できることでスケジュールにゆとりが生まれ、施主への対応にも時間をかけやすくなります。きめ細やかなフォローがしやすくなり、工期の延長といったトラブルも起きにくくなるでしょう。

パネル工法の魅力とは!
イラストで分かりやすく紹介

工務店・ビルダーの課題別に選ぶ!真壁パネル工法メーカー3選

耐力壁の強さを表す「壁倍率」の国土交通省大臣認定を受けている真壁パネル工法の中から、壁倍率の高いパネル工法を取り扱っているメーカーを3社選出。工務店・ビルダーの課題別に、おすすめのパネル工法メーカーを紹介しています(2022年4月1日時点)。

商品信頼性で差別化
個体差のない安定品質
コーチパネル(コーチ株式会社)
コーチ株式会社
画像引用元:コーチ株式会社公式サイト(https://ko-chi.co.jp/ko-chi-panel/)
特徴

ISO9001認定自社工場を保有!
CAD/CAM完全連携にて
複雑な形もオーダーメイドで対応

大臣認定の真壁パネル工法

コーチパネル

コーチパネルについて
公式HPで問い合わせ

TEL:053-580-0111

電話で直接問い合わせ

商品の魅力を体感
耐震実験できる
ショールーム
を用意
プレウォール(ウッドリンク株式会社)
ウッドリンク株式会社
画像引用元:ウッドリンク公式サイト(http://www.woodlink.co.jp/jyutaku_shizai/prewall.html)
特徴

ウッドリンクのショールームにて
施主と一緒に参加できる
耐震性比較実験を月2回開催

大臣認定の真壁パネル工法

プレウォール

プレウォールについて
公式HPで問い合わせ

TEL:0766-84-4477

電話で直接問い合わせ

限られたコストで施工
シンプル設計な
規格パネル
を利用
タフボード((株)ビスダックジャパン)
株式会社ビスダックジャパン
画像引用元:ビスダックジャパン公式サイト(https://www.visdac.co.jp/product/tough-board/tough-board/)
特徴

断熱材別売・規格サイズの
超シンプル設計により
導入しやすい低価格帯を実現

大臣認定の真壁パネル工法

タフボード

タフボードについて
公式HPで問い合わせ

TEL:072-361-8880

電話で直接問い合わせ

調査対象:Googleにて「パネル工法 製造」「木造 パネル工法 製造」「構造体 パネル 販売」でそれぞれ検索。上位50位に公式サイトがランクインしていたパネル工法メーカー(計22社)。
選出基準:国土交通省大臣認定を取得しているパネル工法のうち、壁倍率の高い製品を取り扱っている上位3社(壁倍率の平均値が高い順に掲載)。
調査期間:2022年4月1日
※当メディアでは「工場で一部施工を済ませたパネルを販売している会社」をパネル工法メーカーとして取り上げています。
※壁倍率の数値はパネルのサイズや住宅の仕様によって変動するため、あくまでも参考情報としてお役立てください。